15 July 2019

Trampolene(トランポリン)|Wayne Thomas(ウェイン・トーマス)The Zine UKインタビュー


未だ来日が実現していないUKウェールズの3ピースバンド「Trampolene(トランポリン)」のベーシストWayne Thomas(ウェイン・トーマス)が、一部日本への熱い思いを語ってくれたインタビューを翻訳しました。


【元ネタ英語記事】Wayne Thomas of Trampolene(The Zine UK 2019年6月28日)

以下、当サイトによる翻訳(前文省略)

Photo & Text by Elly Bailey


ウェールズのオルタナティブ・ロック・バンド「Trampolene(トランポリン)」(メンバーはJack Jones(ジャック・ジョーンズ)、Wayne Thomas(ウェイン・トーマス)、Rob Steele(ロブ・スティール))は、誰もが「知ってる」と言うバンドであるが、世界中のサポーターたちにとってその存在は、未だ好奇心を掻き立てられる未知なるコンセプトのバンドのままである。

バンドの結成以来、ステージやバックステージでのワイルドなアクションの虜となったファンは多いが、ライブ後に時間を割いてファンたちを旧友のように迎え入れる姿を見れば、メンバーたちが人を惹きつける誠実なパーソナリティーの持ち主であることもまた隠し切れない真実である。

フロントマンであるジャック・ジョーンズとは、2018年4月、バンドについてインタビューする機会があったが、今回はウェインとの番だ。ジャックとはまた違うバンドに対する見方をシェアしてもらい、今後の展望についても少し手掛かりを得てみたい。

ウェインが才能あるサッカー選手だったとの噂は知っていたが、インタビュー中「音楽が常に人生のキャリア・パスだったのか」尋ねてみた。


「10年くらいサッカーをやってて、その時ジャックと出会ったんだ。二人ともスポーツ万能だったよ、僕がウェールズのナショナルチームでプレーしてた時の話ね。僕がサッカーに行ってる間、ジャックは僕の母親に隠れて僕んちで暇をつぶしてて、僕が帰ったら二人でつるんで一緒に音楽をやって、まるで二重の生活をしてるみたいだった。 
だけど、サッカーから音楽に転向したのは年齢的なものだったと思うよ。6歳で何か始めても、親に言われたからやってただけで、本当はそれが何なのかよく分かってなかったりするよね。その位の年の頃って何でも楽しめちゃったりするものだし。 
…で、スポーツのやり過ぎで背骨を骨折しちゃったんだ。脊椎の骨が2本折れたままプレーしてたんだけど、あれで人生の方向性が変わったと思う。手術を受けなきゃならなかったり、ひどい経験ではあったんだけど、新しい生き方を選択する機会になった。ティーンエージャーとして、アートや音楽のヴァイブスにはいつも憧れてたし、ただグランドを走り回ってるよりスペシャルなことに思えたんだ」。


2017年にデビュー・アルバム「Swansea To Hornsey」、2018年にはコンピレーション・アルバム「Pick A Pocket Or Two」をリリース、2018年11月~12月にはヘッドライナー・ツアー「This Feeling Aliveツアー」を行ったトランポリンであるが、最近、バンドは沈黙を守り続けていた。

だが数週間前、彼らはカムデン・タウンのThe Dublin Castleで一夜限りのライブを行った。客で満杯になったヴェニューが、まだまだ献身的なファンベースがバンドに存在することを証明していた。


「大勢の人が来てくれたのは素晴らしかったね。あんまりライブの宣伝をしてなかったから特にね。大体の人は無料で入場してもらったとは思うけど」。


ファンについて語るウェインの声からは温かみさえ感じられる。単なる「ライブに参戦してくれた人」以上の存在としてファンを認識しているのは明らかだった。


「もうホント人生で最高の喜び。僕らのファンベースって親戚みたいなもの。変なんだけど、ライブを演ればツアーに出たとしても誰だか分かる人たちが毎日大勢いるし、そういうのが世界中で起こるんだ。ライブ10本演ったとしたら、毎日知ってる人たちと祝賀パーティーをやってるみたいで何か特別な感じがする。多少カオスではあるけど、僕らはそういうのをとても気に入ってる。 
ゲストリストがあるときは、割と気軽に名前を載せがちだね。チケット代を払えない奴がいれば、入場させてあげるし。前に、IDを持ってこなかった奴がいて、入場させないって言うから演奏を拒否してやったこともあったかな。その後、当時のプロモーターが、僕らのことをブッキングしたがらなくなってライブをやらない時期があったりしたけど、クソっ!ライブやりたいぜってなって、皆んなの家をツアーで廻って、前に僕らを観損ねた奴んちのガレージでプレーしたりしてた」。


以前リリースされた数枚のEPから構成されたコンピレーション・アルバム「Pick A Pocket Or Two」についても尋ねてみた。本作をセカンド・アルバムと考えているのか、それとも次回作としてリリースされる作品がこの括りに入るものになるのかに関心があったからだ。


今レコーディングしてるのがセカンド・アルバムだよ。僕らは作品をリリースし続けたいって考えてて、過去にやったいろんなリリースをまとめておきたかったんだ。ファンが1枚だけ買えばいいようにね。それが「Pick A Pocket Or Two」というわけさ。可笑しいんだけど、結局あれは1枚目より良く売れたんだ。あの作品が発売される頃までに、またたくさんの人たちと出会ったから、きっとその人たちが買ってくれたんだと思うよ。 
次のアルバムについては、もうレコーディングを始めてる。スタジオに飛び込んでいきなり2曲やってから、暫く顔を合わせてないなぁ。でもジャックがツアーから戻ってきたら、またスタジオに入ってその曲をちゃんとレコーディングする予定。曲のレコーディングについてはいろいろ実験中で、バンドのサウンドをどうすべきか様子見してるところだけど、日に日に変わっていくんだ。ファースト・アルバムと同じことの繰り返しはイヤだから、僕らを刺激することなら何でも試してみてるところ。 
こっちの方向に行くんだろうなって思ってても、何か他のことをやってみたら方向性が変わったりとかってあるよね。だから時間切れになってレコーディングするまでは、何が起こるか誰にも分からない。バンドとしては今年の終わりまでに出したいって思ってるけど、どうなるか分からない」。


ウェインが軽く触れたように、ジャックは「Peter Doherty and the Putas Madres」のメンバーとしてツアーに出ているのだが、いつも近くにいるわけじゃないメンバーとやっていくことに何か問題はあるのか、この機会に質問してみた。


ジャックが他のバンドでプレーすることに不満を持ってた頃もあったかな。今、音楽を作りたいってなっても、ジャックがいないと、バンドの活動が止まっちゃうって意味でね。特にジャックが海外にいる時とか。携帯を持ってても奴は毎日のように失くしちゃうから意味がないんだ。ちゃんと持ってる時だって電話に出やしないしね。 
だけどジャックは僕の親友さ。兄弟でもあるし、彼の冒険を否定したりはしない。ああいうツアーに出て、大きく成長して、たくさんのインスピレーションを得て帰ってくる。誰かが冒険に出るのを見てるのは好きだよ。冒険って人をテストするものだし。ジャックは疲れを知らない働き者だから、帰ってきたらまた一緒にスタジオに戻るんだ。 
この僕でさえちょっとツアーから離れたいって時があって、1月にインドに行ってきたよ。あっちは全く違うカルチャーだから、ちょっと自分自身を試してみたいっていうのもあった。ある意味イギリスよりインドの方が気に入ったし、戻ってきたくなかったくらい」。


自分だけの音楽を作るのに時間を使いたいのか…とも思ったが、ウェインの場合、クリエィティビティに対しては、よりヴィジュアル的なアプローチをしているようである。


「自分だけの音楽を作ることについては大いに実験していて、いろいろやってきたよ。僕の弟のLee(Lee Thomas)がEPをやりたがってたから4曲録音したんだ。彼の作品なんだけど、参加させてもらって、僕にとっては良いチャレンジになったよ。リードヴォーカルを結構やったからね。あとジャックも1曲リードヴォーカルをやったし、Jay Bone(Carl Barat and The Jackalsのドラマー)もドラムで参加することになるはず。これで何をしようとしているのかはまだ分からないけど、完成したら何らかの形で出すつもり。 
トランポリンでの僕はヴィジュアル担当で、ジャックが歌詞全般を担当。音楽については共同作業だね。僕は全く詩人じゃないけど、ジャックの書く詩はいつも自分の言葉のようによく分かる。でも僕としては、自分のアートワークの展示会みたいなのをやってみたいな。 
ミュージック・ビデオについては、確かなコンセプトが僕にはあってそれを表現しようとしている。「Divided Kingdom」のMVは自分たちで撮影したしね。確か11時間かかったはず。友達と僕らで1日がかりで撮影して、Leeが1本のビデオに編集したんだ。 
最近リリースしたシングル2作、「The One Who Loves You」と「Hard Time For Dreamers」のアートワークは僕が手掛けたんだ。以前のアートワークには写真を使ってたんだけど、僕らの音楽で何か新しいことをしてみようって時にそのやり方を変えることを思いついた。あの曲(The One Who Loves You)はElton John(エルトン・ジョン)も気に入ってくれてるよ!」








既に多くのことを成し遂げているトランポリンであるが、バンドの将来の野望について質問することでインタビューの最後を締めくくってみた。


「ゴールは、次のレコードを引っ提げてもっと多くの国を旅することかな。UK以外の国を周れない時には、バリやドイツからUKまで来てくれる人たちがいる。前にSwansea(スウォンジー)でライブした時には、僕らを観るため、単身日本から来てくれた奴もいた。ジャックでさえ自分の友達をライブに来させられないっていうのにさ。忠誠心だよね。だから、そういう人たちに来てもらうより、自分たちが彼らの国に行きたいって思うよ。
早く日本でライブしてみたいんだ。変なんだけど、トランポリンって日本でビッグなんだよね。僕らのレコードが発売されると、UKより日本のレコード店の方がディスプレイがデカいんだ。僕らのホントの最初のリリースはEPのコンピレーションだったんだけど、それがリリースされたのも日本だったしね。
多くの人と同じように、バンドとして僕らも、あるポイントを目指してはいると思うけど、でもじゃあ、あるポイントを目指すとして、それを達成しちゃったら一体どうすればいいわけ?僕らはただ成り行き任せで、自分たちの行きたい方向に行くだけさ。まだ達成とか全然してないし、スタートさえまだしてないんだけどね」。

 Vinyl Junkieから発売された日本独自企画盤(2012年/廃盤)。



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