29 June 2017

もっと知りたいSimone Marie Butler | プライマルスクリームのシモーヌ・バトラーインタビュー(2013年)


Photo Credit: Eric Bouccan


【元ネタ英語記事】 Exclusive Interview with the "Mystery Bassist" from Primal Scream !(2013年11月17日)

以下、当サイトによる翻訳


まずは少し背景情報を…。

1996年: The Stone Roses(ザ・ストーンローゼズ)のベーシスト・Gary "Mani" Mansfieldがローゼズ解散後Primal Scream(プライマルスクリーム)に加入。 
2011年: The Stone Rosesがバンドの再結成を発表。Primal ScreamのManiの空席は、少しの間だけMy Bloody Valentine(マイブラッディヴァレンタイン)のDebbie Googeが担当したが、ツアーメンバーとしてであり、固定メンバーとしてではなかった。 
2012年: 10月末、NMEのウェブサイトに「バンド代表からの公式発表によると、Simone Marie Butler(シモーヌ・マリー・バトラー)がBobby Gillespieのバンドにフルタイムメンバーとして加入」との記事。Google検索してみると、占星術師、女優、海上で66日間漂流し生還した女性がヒット。NMEは、どれもSimone Butlerと同一人物ではないだろうとしたが、この時点でPrimal Scream公式はこれ以上の情報を出さず。 
2013年: 8月8日。長きにわたる熱心なPrimal Screamファンとして、筆者はベルギーの「ローケレン・フィーステン」フェスティバルでPrimal Screamのライブに参加。そこで「謎のベーシスト」を初めてこの目で見て聴いて、強く印象づけられる。イケてるベーシスト、生まれついてのクールなルックス…そして非常に「ロックンロール」なセクシーさ。ライブは素晴らしく印象に残るものだった。その夜、Beady Eye(ビーディ・アイ)がGem Archerの事故のせいで出演キャンセルとなったが、残念がるものは誰もいなかった。ライブ後、観客とプレスは満場一致で「Primal Scream最高!」となった。

まさにその翌日、11月にベルギーで別の(屋内)ライブがあることが発表された…それも筆者の生まれ故郷ヘントで!「Simone Marie Butlerに会わなければ」。筆者にはこれ以上ないほど明らかだった。幸運にもSimoneを探し出すことができ、筆者からのメッセージに素早く返信をくれ、50thirdand3rdのインタビューに応じてくれることになったのは素晴らし過ぎる出来事だった。

Photo Credit: Eric Bouccan


先週の水曜日(11月13日)ヘントにて…。
午後遅く「Vooruit」という名のライブ会場のバックステージ。「ハイ!Simone。お会いできて嬉しいです」。頭悪そうに見えたかもしれないが(気にもしないけれど)、筆者はただ「憧れのベーシストとのインタビューが実現したんだ」と感じていた。ゴメンよ、Kim Deal [訳者注: Pixiesの元ベーシスト]。我々はインタビューの為、ライブ会場内にある居心地の良いカフェに移動した。

こんにちは!Simone Marie。インターネットや雑誌では、あなたについて知ることのできる情報がまだほとんどないんですが、“謎のベーシスト”の過去について少し教えて頂けますか?

自分はロンドンで生まれ育ちました。父はいろんなポップバンドのプレーヤーで、家ではたくさんのミュージシャンに囲まれていました。父は、Roy Orbison、Elvis Presley、Buddy Holly、The Beatlesやその時代の有名アーティストの音楽を聴いていて、それ以来ずっと音楽的な環境に身を置いています。数年前、ロンドンのデンマーク・ストリートにある「Vintage and Rare」というギターショップで働き始めたんですが、そこでもたくさんのミュージシャンと知り合いになりました。Primal ScreamのギタリストBarrie Cadoganも昔そこで働いてたんです。ある時、もっと先に進みたいなと思って決めたんです。ショップでベーシスト達に出会って、ベースという楽器の全てを知りたくなって、ベースを習い始めたんです。10年とか12年間、いろんなバンドに所属しました。有名なバンドではなかったですが、ロックンロールもエレクトロも演りました。DJもたくさんやりましたね。

あんな伝説のロックバンドに加入するのってズバリどんな気分だったんですか?

Bobbyのことは前から知っていて、Barrieとは10年前から知り合いでした。Andrewとは別のライブで会っていたし(筆者メモ:Andrew InnesはPrimal Screamの長年のメンバー)、Primal Screamのことはずっと大好きでした。だからPrimal Screamが固定の新ベーシストを探してた時、自分の名前が挙がったんです。然るべき時に然るべき人を知っているのって、幸運のおかげっていうのもある程度はありますが、自分の幸運は自分で掴まないといけませんよね。ここ10年、いい所までいけるよう本当に頑張ってきたから。とあるジャーナリストがPrimal Screamに加入してから「苦行の洗礼」みたいなのを感じるかって聞いてきたんだけど、その表現はBobbyが良いニュースがあるって電話してきた時にピッタリ当てはまるでしょうね。あのバンドと契約したのは正しかったし、とても誇りに思っています。

新ベーシストとして最初のライブはいつどこで?

実はラジオ番組だったんです。でも自分にとって最初のちゃんとしたライブは、香港のClockenflap Music & Artsフェスティバルでした。昨年12月、3万人の前でしたね。かなり緊張しましたけど演りたいっていう気持ちの方が恐怖心に勝っていました。本当に素晴らしかったです。

バンド内ではクリエィティブなことって何かされていますか?

Bobbyはとても寛大な人で、自分を受け入れてくれて自分のままでいさせてくれるんです。BobbyはManiになろうとするなって言ってくれて、それでBobbyのことをとても信頼するようになりました。もちろんレコーディングでPrimal Screamの楽曲に貢献したいっていう気持ちはありますが、レコーディングされた楽曲とライブ演奏ってまた全然違うんですよ。ライブではアレンジを変える曲もあるし、そういう意味では、ステージでのクリエィティブなプロセスに関わることができていますね。
Bobbyについてはどうですか?

Bobbyは素晴らしい作詞家ですね。文学や詩に詳しいし、真実の追求者でとても情熱的な人。本物のアーティストですよね。バンドのメンバーは皆んな素晴らしい人達で、音楽に取り付かれてて驚くほど音楽知識が豊富。Primal Screamの素敵なところは、「Screamadelica」、「Exterminator」、「Vanishing Point」みたいに音楽的に全く異なる作品を制作していること。だから彼らは偉大なバンドなんです。未だにあらゆる種類の影響に対してオープンだし、作品作りに熱心で、実験的なこともまだしていて…だから彼らといるとホッするんです。

ロックンロールの世界はもう男性に支配されていないのでしょうか?

確かに音楽業界で、男性がまだ目立つ存在であることは認めるけど、自分がこの業界にいる限りでは、性差別的に攻撃された経験はありませんね。自分はデンマーク・ストリートのショップでマネージャーを務めた最初の女性なので、そういった意味で自分自身を証明してみせたかったんですが、素晴らしい友情以外に何もありませんでした。

ステージに上がる前に何か必ずすることはありますか?

コカコーラとウォッカをミックスして一杯飲んで、それからヨガを…(爆笑…ホントはヨガは全く無しでウォッカだけな模様)。ステージに上がる1時間前に、ミュージシャンのほとんどがやるように凄く集中します。そうすると、アドレナリンが流れ始める…。

好きなベーシストは誰ですか?

一人には絞れなくて何人かいますね。The StranglersのJ.J. Burnel、Jah Wobble、The CureのSimon Gallup、Siouxsie and the BansheesのSteven Severin、Gary Mansfield、Robbie Shakespeare、それから…おっともうこんな時間。サウンドチェックに行かなきゃ。あなたも来ていいですよ。

インタビューに時間を作ってくれて本当にありがとうございました!

*Simone Marie Butler: セカンドネームである“Marie”は、彼女の両親がElvisの娘であるLisa "Marie" Presleyにちなんで名付けたもの。



 ◆あわせて読みたい当サイトSimone Marie Butlerインタビュー記事翻訳:


 

15 June 2017

Simone Marie Butlerインタビュー|Primal Scream(プライマル・スクリーム)のベーシスト、Soho Radio DJ


【元ネタ英語記事】Interview: Simone Marie Butler - "It's up to me to be inspired" (Gigsluts 2017年1月29日)

以下、当サイトによる翻訳


ミュージシャン、ヴォーカリスト、DJとして高い評価を受けるシモーヌ・マリー・バトラーは、そのユニークさから音楽業界注目の存在だ。大規模なコンサート会場から小さなDJパーティーまで分け隔てなくこなす彼女のこだわりのなさは、気持ちいいほどに見事である。

ここ5年程Primal Screamでベースを担当している彼女は言う。「自分の好きなことで依頼が来るのって未だにワクワクしますね。去年はEd Harcourtや、Faris BadwanとRachel Zeffiraが組んでるCat's Eyesと共演したんですが、コラボレーションするのはいつでもスリルを感じますね。でも一番最初にPrimal Screamとライブをすることになった時、私に電話してきて『ベーシストを探してる』って言ったのはBobby [Gillespie] だったんです」。― 彼女はそれにイエスと答えた。シモーヌにとって、音楽はすべてなのである。

「DJとしてSoho Radioの番組もやってますが、これはSoho Radio開局から3年間ずっとですね。自分の番組ではメインストリームに逆行するよう心掛けて好きな音楽をかけるようにしています。昔のMC5のブートレグをかける時もあれば、7分もあるリミックス、レーベル契約のないアンダーグラウンドな曲、リリースされたばかりの曲やお気に入りの古い曲をかけることもあります。番組の企画は全部自分でやっていて、インタビューにゲストを呼んだりしています。Soho Radioってそんな風に自由にやらせてくれるから、番組を自分流にアレンジできるんです。ラジオ番組のDJを担当する良い点のひとつは、ミュージシャンとしての自分を投影できることですね。メインストリームのラジオにありがちな編集的なことも一切ありません」。

より興味深いアーティスティックなプロジェクトも、メインストリームから離れた場所で見つかるものだ。うなずきながらシモーヌは語る。「これまでとは異なる分野に自分を置いて、違ったやり方で取り組むようにしています。まさにBowieが言ってたことなんですが、自分より優秀な人達と仕事してみろ、そこでちょっと居心地が悪いと感じたら、正しい場所に身を置いているっていうことだって…。良い仕事をする人間として認知されたいですが、自分のことは自分で評価するしかないですよね。受けた仕事は巧くやりたいし、向上心と向学心は忘れたくないですね。音楽には常に発見すべきものがありますから」。

世界で1番ビッグなバンドのひとつPrimal Screamでのシモーヌの存在は、Sly and the Family Stone、New Rotary Connection等、ファンキーで多様なジェンダーを許容する音楽ムーブメントを彷彿させる。どちらもバンドのルックスやサウンドはこうあるべきだとの固定概念に束縛されることのなかったバンドであり、その記憶に残るポジティブなサウンドで歴史に名を残している。「”女性ベーシストであることってどんな感じ?”ってよく聞かれるんですが、そんな時は”じゃあ男性の歯科医や男性のファッションデザイナーであることってどんな感じ?”って聞き返すようにしています」。ブリクストンの昼下がり、指の感覚がなくなるような寒さの中、コーヒーを片手に彼女は笑った。「正直言ってそんなこと考えたことないんです。全く気にしたこともない。でも音楽業界で目立つ存在だってことは自覚してます」。


Primal Scream - It’s Alright, It’s OK (Official Video)


だが彼女は性別が理由で差別された経験はないのだろうか?「自分がやっていることで正面から女性差別を経験したことはないです。仕事ばかりしているので今後も経験することはないと思います。ミュージシャンやクリエーターにそういう発想をする人はいないですから。だからといって女性差別は存在しないとか、他の業界と較べて音楽業界にもっとひどい点があるって言ってるわけじゃないですよ。音楽業界にあるとすれば、ビジネスや企業側に多いんじゃないでしょうか。ただ自分の周りはそんな感じではないですね。Carol Kayeが言ったように「音符に性別はない」みたいな感じ。もし私がポップミュージック寄りにいたり、ソロアーティストだったりしたら、そういうのをもっと経験したのかもしれませんが、音楽ビジネスの中で女性だからといって不安を感じたことは一度もありません。でもレコードレーベルで働いてた時はもっと性差別があったし、楽器店を運営していた時には、女性を見下してるな…みたいなのはかなり経験しました。でも自分が女性だからこれができないんだと感じたことはないし、若い女子がそう感じる世の中であってはいけない。自分が受け入れてもらえないんじゃないかと不安になったこともありません。そもそも女を利用して自分を売り込もうなんて考えてないですから。そんな風に考えてるなら今自分がやっているようなことはやってなかったでしょうね」。

「経験上、行動を起こすのを躊躇してる時の方が多くのことを学べるんですよ。イエスって言うのを怖がる人は多いけど、自分の場合、ノーと言う方が怖いですね」。…つまりクリエィティブな作業に対して、己を制限しないということ?「そうですね、音楽を作る人になりたいと願いながら私は育ったんです。父はミュージシャンでギタリストだったので、家の中にはいつも音楽がありました。常に楽器に囲まれていましたし、子供の頃はミュージシャンが出たり入ったりする環境でした。それが自分にとって普通だったんです。音楽は生計を立てるためのものだったんですね。父のレコードを聴いて育ったんですが、それはThe Beatles、Eddie Cochran、Little RichardやRoy Orbison等、もうロックンロール三昧!音楽以外の仕事をするなんて想像もしてませんでしたし、定職に就くといつもアンハッピーな気持ちになっていました。自分が大好きなものと繋がってないと感じていたんですね。音楽とバンドはいつも本業の合間にやってたんですが、そうですね、多くの人が無料のストリーミングで音楽を消費する時代、音楽で食べていくのは当然難しい場合もあるでしょう。でも音楽で食べていくのに有名にならなきゃダメだって思い込んでる人が多いけど、それは違うと思います。働きながらミュージシャンをやって本当に素晴らしい人生を送ることだって可能だと思います。世間の注目を浴びているのに全然お金がないなんてこともあり得ますから、どちらもホントですね」。つまり自分自身に正直になる、さらに言えば、音楽の女神に忠誠を誓って生きよう…という話である。

ベーシストに関してシモーヌは、モータウンのレジェンドJames Jamersonや、Charlie Mignus、Paul Simonon、Joh Wobble、Steven Severin、Simon Gallup、Gail Ann Dorseyを尊敬しているという。それ以外では、Warren Ellis、Anton Newcombe、SavagesのJehnny Bethのようなアーティストの名前も挙げている。「ミュージシャンになることって、自分の好みじゃない音楽とか、昔好きじゃなかったものにもオープンになって、あまり批判的にならないってことでもあるんです。その結果、いつも物事の良い面を見つけようとする人間になれる。ある種のジャンルやバンドがあまり好きになれないっていうのはあるかもしれないけど、例えばそのアルバムが如何に巧く作られていて良い作品なのか評価できるようになります。このことは、どんなジャンルでも写真撮影とか何かにハマっていても、誰にでも当てはまることなんです。作品についてオープンマインドになるのか、逃げ腰になるのかの二択なんです」。

 シモーヌはこれからのことについてプランニングしているのだろうか?「あまり先のことは考えないんですよ。そうした方がいいのは分かってるけど、自分は5ヶ年計画するタイプの人間じゃないです」彼女は笑う。「あるいはもし5年も先のことを計画するとすれば、それは人生の区切りってことになるでしょうね。いろんな理由で人生の多くの節目で脱線しちゃってますから…まぁそれはまた別のインタビューで…。自分のやりたいことをやり続けたいです。間違いなく音楽は自分の人生を救ってくれました。ベースを弾くのを止めることはないでしょうね。他にはリミックスのやり方を学ぶとか、スタジオでの制作スキルをもっと身に付けたいですね。いつかは自分の音楽プロジェクトもやってみたい。写真にも携わっていきたいですし、長年やりたいと思い続けてるミュージックビデオの制作も学びたいです。Douglas Hartの作品にインスパイアされてますから。彼には本当に才能がありますね。あと音楽のヴィジュアル表現にも興味があります。だけど今の自分の立ち位置にも満足しているし、自分の能力を多方面に広げるのもいいと思ってますが、そうするかどうかは自分次第。決めるのは自分の意志でなきゃ。何かにインスパイアされるかどうかは自分次第だということです」。

「でも音楽をやっていく上での大きな落とし穴は、こだわりを失くしてしまうことと、うぬぼれてしまうこと。有名人になるのを目指すゲームなんて、リアルじゃないし参加すべきじゃない。今ってYouTubeやInstagramでフォロワーが何人いるかを重視し過ぎるけど、それってただありきたりなことを喜んでいるだけ。ソーシャルメディアはいろんな意味で人の心を蝕んでしまう。人の最悪な部分を引き出して、リアルタイムな人間関係や周りの世界から人を隔離してしまう。オンラインでの居場所が重要になり過ぎて、事実を大げさに表現するのに悪用されることだってあるから健全とは言えないですよね。何もかもキャッチアップしてリアルな世界より大切だと思ってるとしたら間違いでしょう。音楽をやることと有名になることは全く別物なんです。自分の場合、客観的で冷静な人としか付き合わないようにしているし、人生的に遅咲きでクリエィティブな表現手段を見つけたので、これまでに自分に与えられた機会のことを、他の人より有難く感じられるんですよ」。

シモーヌはまた、慈善活動も行っている。ステージ4の大腸ガンの治療を続ける友人、DelaysのGreg Gillbert(訳者注:残念ながら2021年逝去)のため、2月17日にCavalry(訳者注:資金集めの為に設立された団体名)によるチャリティーライブを開催するのである。シモーヌはMystery JetsやBand Of Skullsと共に参加予定だ。「自分達はGregの命を救いたいだけなんです。NHSでは必要な治療を受けられないから」。そう答える彼女の目は一転して哀しみで曇っていた。「彼は信じられないくらい綺麗なソウルの持ち主で、これまで出会った中で1番優秀な人物のひとり。ヴァレンタインにDelaysのシングル『Valentine』を1位にしようというキャンペーンもやっています。皆んなの魂が集まれば、誰かの人生を変える力にだってなれるんです。自分の人生で出会えた素晴らしい人達がまだこの世にいるうちに、心から感謝の意を表すべきなのにそうしないっていうのもアリかもしれませんが…我々には細かいことを言っている暇はないんです」。



12 June 2017

Starcrawler(スタークローラー)|LAのカルチャー誌ISSUEによるバンドメンバー全員へのインタビュー



【元ネタ英語記事】  http://issuemagazine.com/starcrawler/#/ (Issue Magazine 01-2017)

以下、当サイトによる翻訳

Starcrawler(スタークローラー)
 ロサンゼルスを拠点とし、メンバーはArrow de Wilde(17才・リードヴォーカル)、Henri Cash(16才・ギター)、Austin Smith(21才・ドラムス)、Tim Franco(19才・ベース)。現在、元WhiskeytownのRyan Adamsプロデュースによるファーストアルバムをレコーディング中。デビューシングル「Ants」は、AppleのBeats 1で初披露され、Elton Johnの番組「Rocket Hour」でかけられた。
Arrow de Wilde(アロウ・デ・ワイルド)
Starcrawlerのリードシンガー。ロックフォトグラファーAutum de Wildeと Father John MistyのドラマーAaron Sperskeの娘。ロサンゼルス在住の高校3年生。

Arrow de WildeのTwitterプロファイルには「私は神。私は犬。@thestarcrawler の カルトメンバーでもある」と書かれている。ひたむきなまでにそのスタイル、パフォーマンス、そして創造力豊かな非日常的狂気を追求するこの17才は、ロサンゼルス拠点のバンドStarcrawlerのフロントを務めている。その赤く染まった口腔、大きく見開いた目、そして熱狂的なエネルギーにより、彼女は容赦なくライブハウスをパンクロック劇場に変えてしてしまう。高校を卒業したばかり(さもなければほぼ卒業しかけ)で、ライブ演奏の経験もまだ少なく、1枚のシングルしかないものの、Stercrawlerは既に我々の注目を欲しいままにしている。


 (左)ベーシストTim Franco(ティム・フランコ) (右)リードヴォーカルArrow de Wilde(アロウ・デ・ワイルド)


皆んな出身はどこなの?

Austin Smith(以下Austin): 全員LAが地元。

どうやって知り合ったの?

Arrow de Wilde(以下Arrow): Austinと自分が共通の友人を介して知り合って、ジャムセッションをするようになった。ある日学校でHenriが歩いてるのに気付いてカッコいいと思って近付いて…。アタシ何て言ったんだっけ、Henri?

Henri Cash(以下Henri): 学校のこんくらい狭い階段でケースに入ったチューバを運んでたんだ。そのケースにハンドルが付いてなくてさ、ヒドイよね。マジで持ち上げなきゃならないんだから。疲れたからケースを床に置いて休憩してたらArrowが近付いてきて、「キミ、ギター弾きそうに見えるんだけど」って言ったんだ。

Arrow: 「キミ、カッコいいじゃん」って言ったんだよ。

Henri: 「キミ、カッコいいじゃん」。

Arrow: 「ギター弾く?」

Henri: それが始まりだったんだ。
 
Arrow: チューバ吹けるんなら、ギターも弾けるだろって思って。あと、Timとはちょっと前から知り合いだった。

Austin: 共通の友人を介してTimにまた遭うまで、他のベーシストともやってたんだけどね。僕らはこうしてつながったんだ。

Henri: Timは陰の実力者さ。

皆んな一緒の学校に行ってるの?

Austin: 僕とArrowだけだよ。(※Henriの発言の間違い)

学校にはあと何年行かなきゃならないの?

Arrow: 今年で最後。Henriが最年少。

Henri: 僕はあと1年あるんだ。そのうち分かると思うけど、アルバムが出て来年ツアーに行く時が来たら、オンラインスクールにするつもり。

何年くらい一緒にプレイしてるの?

Arrow: 4年ちょっと。

Austin: 今みたいな形になるまでには何段階かあったんだ。僕とArrowは多分1年半かほぼ2年くらい一緒に演ってて、それからユニットとして全員一緒に演るまでに1年くらいかかった。

ライブするようになってからどのくらい経つの?

Henri: 一番最初のライブが1年前の2月、サンセットにある「Damn」って店。それ以外はただリハーサルと練習あるのみ。

Arrow: アタシ達って普通と逆のやり方だったよね。3ヶ月くらい曲を作って練習して、Steven McDonaldとデモテープをレコーディングして、それからライブをやり始めたっていう。

Austin: ライブデビューさえしてないのに「Ants」をレコーディングしたからね。



(左)ドラマーAustin Smith(オースティン・スミス) (右)ギタリストHenri Cash(ヘンリ・キャッシュ)


今のところ「Ants」が唯一の公式リリースなわけだけど、今後何を期待していいかな?

Austin: 今フルアルバムの制作中なんだ。これがちゃんと計算どおりリリースされるよう自分達の時間を使いたいと思ってる。多分、どこかのタイミングでシングルをもう1枚リースすることになると思うけど。でも今のところ、フルアルバムについてはゆっくり慎重に進めてる。

新曲は今もまだ作ってるの?

Austin: 新曲は常に作ってるよ。

大人になる過程でどんな影響を受けてきたの?

Arrow: 一番最初にハマったのはThe Beatlesで、すっごく好きだった。子供の頃聴きたかったのはとにかくThe Beatles。もうちょっと大きくなってから、Ozzy Osbourneのことがマジで好きになった。カトリックの女子校に通ってたから、あの頃Ozzyと出会ったのは大きかった。

Henri: 小2からずっとJack Whiteに夢中だった。フォンダ・シアターのJack Whiteのライブで最前列のセンターを取りたくて7時間待ったこともある。その後、Captain BeefheartとかFrank Zappaみたいな、より実験的なものにハマっていった。変わってるやつなら何でも好きなんだ。Morphineってバンドも大好きだよ。2弦ベースとかバリトンサックスとかマジでちっちゃいドラムを高音でプレイするバンドなんだ。

Austin: 僕のルーツはクラシックロックにある。子供だった頃はLed Zeppelinを聴いてたけど、ティーンになって音楽の趣味がメタルやハードコアパンクに変わっていった。Cro-MagsとかBad Brainsみたいなね。そこからガレージロックや、よりノイジーなエクスペリメンタルロックに傾倒していった。

Tim Franco(以下Tim): 子供の頃、僕の母親はBob Seger、Billy Joel、The Beatles、Scorpions、Led Zeppelinみたいな大御所をかけてたと思う。成長するにつれて、すっごくマイナーなものにハマっていって友達とバンドを始めたんだ。その友達のおかげでボサノヴァやジャズが好きになった。それからHarry NilssonやRandy Newmanにハマった。

Starcrawlerの音楽スタイルをどう説明する?

Henri: 今のところいろいろ全部のミックスだな。

Austin: 僕らとしては、皆んなにライブに来てもらって、僕らの音楽がどんな風なのか自分で判断してもらいたいって思うよ。他のバンドが「僕らってこうなんです」みたいに言ってるのを聞くと違和感を覚えるからね。僕らは自分達独自の影響を受けてるから、演奏には影響を受けたものがそのまま反映されてる。だからライブに来て自分で確かめてみてね!

歌詞を書いてるのは主に誰なの?

Arrow: Henriと自分がほとんどの歌詞を書いてる。

Henri: リフを作るのが得意なんだ。いつもギターを手放さないよ。だけどバンドって話になると、僕らはとってもうまくかみ合ってるよね。各プレーヤーが自分だけの特技を持ってるからね。誰が欠けてもStarcrawlerじゃなくなるだろうね。





まだ皆んな非常に若いわけだけど、これがやりたいことなのかな?

Henri: もちろんさ。

Arrow: バンド全員そうだよね。

Henri: 音楽を演ることって、自分達が(人生の)秘訣を知ってるってこととほぼ同じじゃないかなって思う。

Arrow: そうだよね。自分は常に音楽に傾倒してるような子供じゃなかったけど。父がドラマーで母がバンドの写真を撮影してたから常に周りに音楽はあったんだけど、音楽がやりたいかどうかハイスクールの1年生まで分からなかった。

Henri: 僕は家族が皆んなミュージシャンだから、ミュージシャンになりたいと思いながら育った。伯父さん達がロサンゼルスでプレイする、で、その次はConanのテレビショーやら何やらでプレイする…みたいなのを見てて、僕もやりたいなと。僕もジャンプしまくって伯父さん達みたいになりたいって思ってた。面白そうに見えた。

Austin: 僕は子供の頃からずっとドラムを叩いてきた。でもそれを職業にしようとは思ってなかったな。ドラムを叩いてるとただ幸せだったんだ。だから初めの頃、ドラムはアーティスティックな手段って感じだった。

Tim: 音楽をやり始めたのはここ3年くらいのことなんだ。それ以前はビデオゲーム以外何の興味もなかった。だから全部最近の話なんだけど、今は音楽のことをとても真面目に考えてるし、毎日新しいことを学んでる。

皆んなにとってパフォーマンスってどのくらい重要?

Henri: それが全てだよね。

Austin: 僕らは本当によく練習していて、自分達が理想とする形にライブを近付けるようにしてる。僕らはいい加減なバンドじゃないんだ。ライブ前はイントロが正しいか確認したり、曲終わりをどうすべきか決めたりしてる。

パフォーマンスの美意識みたいなことについてはどうなの?

Austin: 僕らはある種の空気感を創り出そうとしているから、美的なものが果たす役割はあると思う。ただ4人がステージに立たされてるだけみたいなパフォーマンスにはしたくないんだ。僕らに本物を感じてもらえるようなパフォーマンスがしたいと思ってる。

Arrow: バンドってだけの話じゃなくて、全部ひっくるめてだよね。ショーを観てるんだから。

Henri: 毎晩違うものになるしね。

Austin: かなり即興的なものだよね。

Arrow: だけど何をやるかについては計画しておく。

…っていうと?

Arrow: 昔の自分はシャイで、ここ数年くらい何が起こってるかよく分かってなかった。前に別のバンドをやってたんだけどうまくいかなかったし。その時もまだ自分はシャイで、ただステージにつっ立ってただけでつまらなかった。「何を怖がってるの?」って自分に問いかけてた。だけどある日The Runawaysを聴いてたことを思い出して、「血を吐きたい。誰かの顏を嫌悪感で歪ませてやりたい」ってなった。それからキャラクターを作っていった。

Henri: もう一人の自分ってヤツだね。

Arrow: そう。まさに自分の分身。ステージからハケて20分経っても、まだ精神状態が行っちゃってるから。消えるのにはしばらくかかる。

そういうのに関して尊敬してる人はいるの?

Arrow: 間違いなくOzzy、Iggy Pop、あとAlice Cooper。ちびっ子版Alice Cooperみたいには見られたくないから、自分自身のものにしようとしてるけど、そういうアーティストからインスピレーションを得てるのは確か。

誰とでもコラボレーションできる機会があるとしたら、それは誰でその理由は?

Henri: Tom Waits。アルバムのサウンドが大好きだし、彼のドラム部屋の話を聞いてるからね。ギターはMarc Ribotっで…って完全に変わってるよね。曲はオーケストラみたいな感じでいきたいな。

Austin: Steve Albiniだね。繊細さがとってもいいよね。彼の作品は体系的で定型的でもあって、僕はかなりインスパイアされてる。

Arrow: Ozzy。80年代にOzzyがLita Fordとやった「Close My Eyes Forever」が好きだから、多分あんな感じのがやりたい。




音楽以外だとどんなことに興味があるの?

Henri: 雨降りとハイキングが好きだよ。住んでるのAltadenaだから、毎日ハイキングしてる。

Arrow: 雨キラ~い。

Austin: 僕はファインアートに興味がある。自分で作って鑑賞したりする。映画全般も好きだな。

Arrow: 自分もアート作品を作るのが好き。あとファッションにも興味ある。変わってる昔のコスチュームを探すのが好き。

Tim: 僕はビデオゲームが好き。

Arrow: Taco Bellもハズせない。

10 June 2017

Rough Tradeからデビュー曲「Ants」7インチ発売|LA発4人組バンド・Starcrawler(スタークローラー)インタビュー


紅一点のヴォーカル・Arrow de Wildeの存在を知ったのは、まだStarcrawler(スタークローラー)が話題になる前、彼女の母であるフォトグラファー・Autumn de Wildeインスタグラムがきっかけだった。現在人気急上昇中のブルックリン出身の兄弟バンドThe Lemon Twigsの弟Michael D'Addarioとタダならぬ雰囲気で2ショット写真に収まる手足の長いモデル体型女子、それがArrow de Wildeだった。

Arrow de WildeとMichaelの間には、特にロサンゼルスにおいていくつかの接点が見られる。Arrow de Wildeの母はLemon Twigsのアーティスト写真も手掛けているし、The Lemon TwigsのD'Addario兄弟はデビュー作「Do Hollywood」のレコーディングをロサンゼルスで行っている。また、StarcrawlerはLemon Twigsのサポートアクトを務めたこともある。バックグラウンドの似通った同い年の2人の間に何かあっても、まぁ不思議はないわけである。


右からAustin Smith(dr)、Arrow de Wilde(v)、Henri Cash(g)、Tim Franco(b)


・・・と(タダの友達かもしれないのに)思わせぶりなことを書いてしまった。そんなArrow嬢も2017年6月、無事高校を卒業。というわけで、ずっと翻訳したかったニューヨークのメディア「W Magazine」によるStarcrawlerインタビューをご覧ください。

【元ネタ英語記事】 Meet High School Rockers Stacrawler, Here to Prove Metal Isn't Dead(2017年5月5日付)

以下、当サイトによる和訳

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ロサンゼルスにあるライブハウス「The Echo(ザ・エコー)」での対バン企画が初ライブだった4人組バンド・Starcrawler(スタークローラー)が、初ライブ翌日から1年の時を経て、まさにその同じステージにヘッドライナーとして登場した。彼らにとって初のトリを務めるライブである。

それは2月26日のことだった。その翌日、バンドのフロントウーマンであるArrow de Wilde(アロウ・デ・ワイルド)ギタリストHenri Cash(ヘンリ・キャッシュ)は、重い足取りで学校へと向かい、前夜からの疲労困憊のまま学業に戻るのだった。

「人が入ってたよな~」、ロサンゼルスからの電話越しにCashが話す。「前より稼げたよね」、de Wildeが口をはさむ。彼女とCash、そしてドラマーのAustin Smith(オースティン・スミス)は電話の向こうで大爆笑している。Starcrawlerが今の評判を築き上げたのは、The Echo(ザ・エコー)のステージである。そこはまた、木曜日 [訳者注: 2017年5月4日] 公開されたバンドのデビューシングル「Ants」のプロモーションビデオを撮影した場所でもある。


Starcrawler - Ants (Official Video)  


その動画の中でのde Wildeは、ステージ上に滑り落とされ、両腕は拘束衣でその自由が奪われている。マイクにうめき声をあげde Wildeは歌う:「蟻(アリ)なんていやしないのに身体を蟻が這う、蟻なんて来やしないのに身体を蟻が這う、椅子の上でも蟻が這う、乱暴者みたいに噛みついてくる」。

"I got ants when I don't, I got ants when I won't, I got ants on my chair, they bite like a bear."

公式リリースになったばかりであるものの、彼らはこの曲をほぼバンド結成時から演奏し続けている。「Ants」はStarcrawlerにとって初めての曲であり、またElton JohnがBeats 1 の自身のラジオ番組「Rocket Hour」で1曲目にかけた曲でもある。

「“目立つ”ってことの象徴みたいにステージで振る舞うのは好きだけど、単に蟻について歌ってるだけなんです」、笑いながらde Wildeは語った。「Ants」はCash宅で起きた蟻侵入事件 [訳者注: 別記事によると、バックパックにサンドイッチを入れっぱなしで週末放置していたのが原因らしい] ― かなり酷いもので、ある日学校に登校したCashは、先生にRAID [訳者注: 殺虫剤の商品名] をスプレーされた ― にインスパイアされた2分に満たない曲である。「Ants」は、まるで電気的な衝撃の如く、グロテスクなエッジの効いた70年代後期ヘアメタルのエネルギーを伝えてくる。動画の中で、ステージ上のde Wildeは衣服や下着を引き裂くのであるが、その衣服とは、医療機関のユニフォームである患者着であり、前述した拘束衣である場合も多い。彼女の口は血まみれであり、胸は赤色に汚されている。「退屈することにうんざりしてたんです」、自身のステージ衣装についてde Wildeはそう語った。



Starcrawlerは、メンバーそれぞれがこれまで受けてきた音楽的影響の集合体として、2015年夏、誕生した。De Wildeの母親は、フォトグラファーでありElliott SmithやRodarte [訳者注: ファッションブランド] を設立したMulleavy姉妹等ミュージシャンやデザイナーを題材としたドキュメンタリー作家でもあるAutumn de Wilde、父親は元Ariel Pink's Haunted GraffitiのドラマーAaron Sperskeである。彼女はThe BeatlesやCat Stevensといった古典的作品に加え、彼女曰く「その時ママが撮影してたバンドなら何でも」聴きながら成長した。「一番最初の音楽の記憶は、多分まだよちよち歩きの子供だった頃、膝の上に乗っけられて聴いたパパのドラムじゃないかな」と彼女は語る。彼女は中学生でOzzy OsbourneやBlack Sabbathと出逢い心を奪われた。CashはMuddy WatersやProfessor Longhairのようなブルーズを聴いて育ったが、後にAC/DCやThe Ramonesに転向している[訳者注: ちなみにCashも父親を含め親戚にミュージシャンが多いらしい]。


アメリカの人気子供音楽番組「Pancake Mountain」に出演したStarcrawler


「演奏方法に関して僕らが受けてきた影響は全く違うんだ」、Smithは語る。「だけど一緒に演ってみると結構近いものがあって、うまく調和する」。Smithとde WildeはStarcrawler結成以前から共にプレイし始めていたものの、ギタリストとベーシストを探していた。「ある日学校でHenriを見かけて、『君、カッコいいね。ギター弾く?』って声を掛けた。だってチューバのケースを運んでたから」、de Wildeは回想する。「彼、何か変に目立ってた思う」。ベーシストのTim Franco(ティム・フランコ)と彼女は元々知り合いで、その後すぐバンドに誘い入れた。初めてライブをやることになった時、ライブ直前にバンドの名前を考え出した。何だって良かったのだが、ポスターに載せるのに必要だったのである。

Starcrawlerは昨年末、de Wildeの母親の友人であるRyan Adamsとスタジオ入りし、デビューアルバムをアナログテープにレコーディングした。発売日はまだ仮決めであるものの、今月後半[訳者注: 2017年5月後半] 、Starcrawlerは英国で数日ライブをする為ツアーに出発し、再びカリフォルニアに戻る予定だ。その後、6月にはde Wildeの高校卒業も控えている(FrancoとSmithは既に卒業済み。Cashはde Wildeの1年後輩)。

では、アルバムはどうなる?

Cashは言う。「ロックンロールはまだ生きてるって確信する作品になるよ」。


8 June 2017

LA発4ピースバンド・Froth (フロス)|「Outside (Briefly)」レコ初インタビュー

RIDE北米ツアー・サポートアクトに決定で、今がチャンスとばかりにFroth(フロス)を布教する企画第2弾(第1弾はこちら)。アメリカ西海岸・ロサンゼルスを拠点とする4人組バンドである。

元はと言えば、冗談から始まったバンドFroth。友人から無料でレコードを作ってやると言われ、まだ楽器さえ弾けないというのに架空のアルバムのアートワークを作成、20分の無音レコードを制作したのはVocalのJoo-Joo Ashworthと、同じ高校(El Segundo High School)の先輩であり初期メンバーとしてオムニコードを担当していたJeff Fribourgである(結局脱退後も含めFroth全3枚のアルバム・アートワークを担当)。




1作目「Patterns」、2作目「Bleak」までは地元のレーベルBurger RecordsLolipop RecordsからLPやカセットテープを発売していたFroth。2017年2月24日リリースの3作目「Outside (Briefly)」では、ロンドンを拠点とするWichita Recordings(ウィチタ・レコーディングス)と契約。事実上ワールドワイドなバンドの仲間入りを果たしたのである。

というわけで、最新作「Outside (Briefly)」発売前に行われたJoo-Joo Ashworth(g&vo:上写真左端)、Jeremy Katz(ba:上写真青シャツ)、Cameron Allen(dr:上写真バイク)へのインタビュー和訳を掲載。


【元ネタ英語記事】 Froth: "Everything changed once we got in the studio..."(2017年2月9日付)

以下、当サイトによる和訳

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「Bleak」のリリースから2年が経ちました。「Bleak」への反響はどんな感じでしたか?

Joo-Joo Ashworth(以下A): まあ良かったよ。正直言って「Bleak」についてはあまりプッシュできなかったんだ。やろうと思えばできたんだろうけど。ツアー廻ってる時、フィジカルな音源がなかったからね。まぁあったとしても、それでどの位の差がつくのか分かんないけど。まあ良かったよ。もうちょっと行くかなって期待してたかもしれないけど。

Jeremy Katz(以下K): 1枚目のアルバムが好きだった人の中には、多分離れちゃった人もいるんじゃないかな。「Bleak」の方をもっと好きになってくれた人もいたけどね。

Froth2作目のアルバム「Bleak」


「Bleak」以降のバンドはどんな感じだったのですか?

A: たくさんツアーを廻ってた。でも大体は(3作目の)次のアルバムのことで盛り上がりまくってた。絶対、全3作の中で一番盛り上がってたと思うよ。

(3作目の)ニューアルバムにはいつから取り掛かったんですか?

A: 「Bleak」をリリースしてほぼすぐ。曲によって早く仕上がったり時間がかかったり。

K: ニューアルバム1曲目の「Contact」については、「Bleak」をリリースした週にJoo-Jooがデモを持ってきたのを覚えてる。「Contact」はニューアルバム用に作った最初の曲だったと思うよ。僕らは常に曲作りをしていて、必ずしもアルバムのためってわけじゃないから、最終的に曲が溜まった頃に「じゃぁアルバムを作ろう」ってなるんだ。


3枚目のアルバム「Outside (Briefly)」より:1曲目・「Contact」公式PV



アルバムの曲作りの際、何からインスピレーションを得ているのですか?

A: Elliott SmithとかThe Beatlesとかいろいろ。ニューアルバムについてはこの2つから一番大きな影響を受けたって言えると思う。Julian Lynchもそうだね。

K: 面白いって思った本があったんじゃなかったっけ?

A: ああ、そうそう。歌詞の多くはRichard Brautigan村上春樹の本が基になってるんだ。


左からJoo-Joo Ashworth(g&vo)、Cameron Allen(dr)、
Nick Ventura(g)、Jeremy Katz(b)

レコーディングの場所は?あとアルバムの制作期間はどのくらいでしょうか?

K: 今僕らがいる場所から、ちょうどその通りを進んだところだよ。僕らの友人にThomas [Dolas]ってヤツがいて、結局このアルバムのプロデュースをやってくれちゃったわけだけど、Thomasが自分のスタジオを作ったんだ。DIYスタジオとプロ仕様のスタジオの真ん中って感じのね。結局僕らはそのスタジオでThomasと一緒にアルバム制作をしたんだ。あそこにいるとすごくリラックスできる。ホント良かったよね。

A: 2ヶ月くらいかかったんだっけ?40セッションしたのを覚えてるから、だいたい2ヶ月超えだと思う。


最新作「Outside (Briefly)」(2017年2月24日発売)


このアルバムのレコーディング過程はどんな感じでしたか?

A: バンドとして既に完成させてたのは数曲だけだったように思う。それからは他の新曲の制作を頑張った。だから古いデモをチェックして、メンバー全員が賛成できて、メンバー全員が好きなものを見つけたら、各メンバーのデモをフルバンドでレコーディングしていった。

そのように長い時間をかけて制作していく中で、最初に曲作りをしていた頃と較べてアルバムの曲が変化したことはありましたか?

A: もちろんあったよ。「Contact」がいい例だね。最初は全然違う曲だったから。シンセも何も入ってない、ただのギター・ソングだった。

Cameron Allen(以下Allen): あの曲は何回も録り直したよね。

K: 僕らは「Contact」を演奏するのを一旦中止したんだ。この曲に関しては何もしない…みたいな。で、後になって復活させた。

A: 「Petals」はとてもスローな曲なんだけど、最初に書いた時はやたら明るい曲だった。大体スタジオに入ると全てが変わっちゃう。今ライブだと新しいパートを付け足してる曲もあるし。多くの場合、スタジオでやってることと同じだよね。


3枚目のアルバム「Outside (Briefly)」より:4曲目・「Petals」公式PV


アルバムタイトルは「Outside (Briefly)」ですね。タイトルの裏に何かストーリーはありますか?

A: Richard Brautiganの「The Abortion」っていう本の章のひとつから取ったんだ。ただカッコいいと思ってね。個人的な僕の身の上には特に何も起こってなかったから、「あ~、今この本読んでるからこれついて何か作っちゃおう!」みたいな方が簡単だったんだ。

K: 僕らのバンドって見た目や響きがクールなフレーズや言葉を見つけて、それを基に曲作りをすることもあるよね。

アートワークはどうしてるんですか?

A: 数年前までFrothのメンバーだったJeff Fribourgが担当したんだ。Jeffは僕らのアルバムカバーを全部やってくれてる。いつだって僕らの気に入る作品を作ってくれるから、アルバムカバーについてはJeffに好きにやってもらってるんだ。Jeffだったら何をやってもいいものを作るって皆んな分かってるからね。

K: 何でそれがクールかっていう話だけど、Jeffが最初にアルバムカバーのデザインを始めた頃、レコーディング中の僕らの所にやって来て、スタジオの片隅で音を聴きながら作業するんだ。デザインと音楽が奏でるサウンドがリンクするんだろうね。きっと音楽がデザインにちょっと影響するんだと思う。僕らが曲を作ってた時、Jeffはその場にいるんだから。


旧メンバーJeff Fribourg(オムニコード担当)
Frothのアルバムカバーの全てを手掛ける



今回はWichita Recordings(ウィチタ・レコーディングス)からの初めてのリリースになります。Wichitaと組み始めたのにはどんな経緯があったのでしょう?

A: レーベルを経営してるMark [Bowen]が僕らのマネージャー・Sofia [Karchi]の友人だったんだ。Markは僕らをチェックしに、とあるライブにやって来たんだ。僕は知らなかったけど。

K: その後もMarkはライブに足を運び続けた。何回か僕らを見て、契約することに決めたんだ。素晴らしいことだね。

A: Markが自分のレーベルに僕らを連れ去った…みたいなね。


「Outside (Briefly)」を一文にまとめるとしたら、どう表現しますか?

Allen: 「パパのお気に入りのFrothのレコード」。


アルバムの中で好きな曲や、特に聴いてもらいたい曲はありますか?

A: 「Petals」って曲がとっても気に入ってる。僕のお気に入りはコレだな。

K: 僕も賛成しなきゃな。

Allen: うん、あの曲は僕のお気に入りでもあるよ。「New Machine」も大好きだけどね。

K: そうそう、「New Machine」もいいよね。実は「Petals」はニューアルバム用に初めてレコーディングした曲でもあるんだ。

Allen: それってもう1年半も前の話だぜ。

K: また別のスタジオでね。ひたすらレコーディングしまくって、その曲だけ何回もやってた。

A: 同じエンジニアだけどね。

Allen: そう、やっぱりThomas。

K: だから面白い曲が出来た。


Joo-Joo Ashworth (vo&g)   Photo by Sara Amroussi-Gilissen


アルバムをリリースするにあたって何か希望することはありますか?

A: 特にないかなぁ。大体僕らは何をやってもとてもハッピーだからね。皆んながアルバムを気に入ってくれたらいいなって思うだけかな。でも、もう作っちゃってるから僕らができることはあまりないんだけどね。

K: 今回はアメリカでもうちょっとウケて欲しいって思うけどね。Frothのツアーはヨーロッパだと、いつも本当にいい感じで楽しいんだ。アメリカはまだ怪しい時があるよね。アメリカの僻地の真ん中から誰か来てくれたらいいんだけど。これを読んでるネブラスカ州の誰か!ライブに来てね~。


アルバムが出たら、次はどうするんですか?

K: Desert Daysのツアーをやって、それからまだ発表になってないけど、アメリカでヘッドライナーツアーをやってから、ヨーロッパツアーがある。で、また8月に別のヨーロッパツアーに行くんだ。だからたくさんのツアーが待ち構えてるってことかな。いいことだけどね。だってこのアルバムがリリースされるのを数ヶ月も待ち続けてたわけだから、メンバー全員ツアーに出るのをとても楽しみにしてるよ。


将来について一番恐れていることや、楽しみにしていることは何ですか?

K: 僕が恐れてるのは自分の結婚だけだよ。だってこんなにたくさんツアーに出なきゃならないんだから。

A: 僕が怖いのは友情をダメにしてしまうようなケンカ。ツアーだと時々起っちゃうからね。

Allen: 怖いものは特にないと思う。またツアーが始まることが楽しみで仕方ないだけさ。

A: そうだね。僕ら全員またツアーが始まって、行ったことのない場所に行けるのをめちゃくちゃ楽しみにしてるよね。冬じゃない時期にヨーロッパに滞在するのはいいだろうね。

K: ヨーロッパには2、3回行ってるんだけど全部2月だったんだ。天気のいい時期じゃなかったからね。5月のヨーロッパはいいだろうね。


お金が目的じゃないとして、バンドとして何が一番したいですか?

K: 飛行機が欲しい。僕個人用のね。あとアルバムをレコーディング出来る僕ら専用のスタジオが欲しい。

Allen: …で、僕らが今していることが出来ること。ツアーをして快適に過ごせること。

A: お客さんを確実にライブに来させることは出来ないけどね。― ライブのお客さんは買収出来るか!そうすれば観客の規模がもっとデカくなるよな。

7 June 2017

LA発4ピースバンド・Froth(フロス)|Jeremy Katz(ジェレミー・キャッツ)インタビュー

日本では知る人ぞ知る4人組バンド、ロサンゼルスを拠点とする「Froth(フロス)」。サーフロック、ガレージ、サイケデリック、シューゲイザー等、そのサウンドの多様性ゆえカテゴライズするのはなかなか難しいのであるが、何と言っても一部の音楽ファンの間に彼らの名を知らしめたのは、当時イブ・サンローランのクリエィティブ・ディレクターだったHedi Slimane(エディ・スリマン)による「General Education」の2014年秋冬コレクションへの起用である。


 Froth(フロス)のメンバー
右からJeremy Katz(b)、Joo-Joo Ashworth(g&vo)、Cameron Allen(dr)、Nick Ventura(g)。


アルバム3作目「Outside (Briefly)」にしてWichita Recordings(ウィチタ・レコーディングス)と契約したFroth。同じくWichita Recordingsから21年振りにスタジオアルバムをリリース予定であるUKの大御所バンドRIDE(ライド)の2017年7月北米ツアーのサポートアクトに大抜擢され、本人達も「This is "Like a day dream for us"」とツイートしてしまう夢の事態に!


2017年RIDE北米ツアーをサポートするFroth


というわけでSkiddle.comによる腹が出過ぎなベーシスト・Jeremy Katz(ジェレミー・キャッツ)のインタビュー(2017年3月)の和訳を掲載。日本におけるFrothの知名度向上を狙おうという目論見である。ほとんど楽器を演奏したこともなく、20分も無音でスピンするレコードをふざけて制作していた冗談半分の"架空の"バンドFrothは、いかにして成長していったのか?


【元ネタ英語記事】  Froth interview: From a joke to a successful touring band.(2017年3月29日)

以下、当サイトによる和訳

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バンド名の由来は?

Jeremy Katz(ベース)(以下略):ホントに冗談でしかなかったんだ。僕らはサーフィンをしながら大人になったんだけど「Frothing」ってオーストラリアでよく使われるサーフィン用語なんだ。

(訳者注:「とても興奮している」の意。しかしながら、バンド初期2013年にヴォーカルのJoo-Jooが明かしたところによると、「Froth」にはよりセクシャルな意味がある模様。詳しくはこの記事の中盤参照。)

今年(2017年)はいろいろありますよね。まずは最近アルバムをリリースされました。アルバムへの反響には満足されていますか?

反響はとてもいいみたいだよ。いまのところUKやヨーロッパの方が反響がいいように感じる。まぁ僕らにとってはいつものことなんだけど。

新アルバム「Outside (Briefly)」の中で一番気に入ってる曲は何ですか?


アルバム3作目「Outside (Briefly)


僕個人としては「Petals」って曲が好きかな。アルバムの中のお気に入りなんだ。2曲目の「Shut The Windows」も好きだな。うん、でもアルバム全体についてとても満足してる。

ツアースケジュールを見せて頂いたんですが、本当にノンストップですよね。睡眠不足で死なないようにどうやってこのスケジュールをサバイバルするのですか?

そうなんだけど、分かんないや!アルバムが出て、9月半ばまでは基本的にツアーなんだ。ちょうど昨夜1ヶ月のツアーから戻ったばかりでめちゃくちゃ疲れてるよ。今は2週間の休暇中なんだけど、その後また2ヶ月ツアーに行くんだ。

バンド初期の頃の話についてですが、バンドの中には最初、楽器の演奏の仕方をほとんど知らなかったメンバーもいるって話を読んだのですが、今のFrothの牽引力を考えるととても感慨深いものがあります。あまり経験のなかったメンバーがどうしてこんなに早く自信をつけることが出来たのでしょう?

バンドを始めた頃、僕とJoo-Joo(ヴォーカル&ギター)はバンドで演奏したことなんてなかったんだ。Joo-Jooはほんの数ヶ月ギターを弾いてただけでかろうじて歌えるって感じだった。僕なんてバンドに入る前は楽器の演奏さえしたことがなかった。

最初は面白がってジャムりまくってるだけだった。それからドラマーのCameronが加入したんだけど、Cameronはとても巧いドラマーだったから、僕らにしてみればCameronの加入のおかげで簡単にバンドが巧くなったよね。大体Cameronはバンドをまとめる接着剤みたいな存在だった。Cameronとプレイするようになってから、僕らは上達し始めたんだ。頼りになるヤツで全部をうまくまとめてくれるんだから。

ちょっとした遊びや冗談で始まったバンドということですが、今現在のスケールにまで到達するって思ってらっしゃいましたか?

全然!もちろん思ってなかった!

数年前、イブ・サンローランがファッションショーでFrothの1曲を取り上げて、モデルとしてメンバー2人を起用したことがありました。あれはどういった経緯で?

イブ・サンローラン2014年秋冬のショーでランウェイを歩いたJoo-Joo


Hedi Slimane(イブ・サンローランのデザイナー(訳者注:2016年退任)がずっとカリフォルニアにいて、Burger Records(訳者注:Frothの所属レーベルのひとつ)関連のありとあらゆるライブに顔を出してたんだ。一度僕らがライブをした時、Hedi Slimaneが写真を撮りに来ててFrothの1曲を気に入ってくれた。それでファッションショー用に15分ヴァージョンを作って欲しいって頼まれたんだ。

あの時のメンバー全員にとって、人生で一番クールな出来事だったよ。


旧メンバー・Jeff Fribourg(右端:オムニコード&アルバムアートワーク担当)がいた頃



その時点で「成功した」と思いましたか?

世界の反対側までタダで行けるのは素晴らしかったよね。当時ツアーさえしたことなかったんだから。動揺しまくってパリまでひとっ跳びって感じだったな。

成功っていう風には思わなかったけど、多分「あぁ、これってマジなんだ」みたいに思ってた頃かな。

では将来的にFrothにはどのくらいビッグになってほしいですか?

出来るだけ多くの人に僕らの音楽が届いて欲しいって思うだけだよ!名声を手に入れるのも素晴らしいことだけどね。名声について時々考えてるのも事実だけど、僕にとってはクールなアルバムを作ることの方が重要だね。いつだって最終的なゴールはそこにある。

バンドが形になっていく上でロサンゼルスという街からはどのような影響がありましたか?

Frothを始めた頃、ロサンゼルスには揺るぎない音楽シーンがあった。その音楽シーン全体がエコパーク辺りで開花したって感じだった。本当にたくさんのバンドがひしめいてた。友達は皆んなバンドやってたし。ロリポップレコード(訳者注:Jeremy Katz本人も参加しているレーベル)もあったね。皆んなライブに出て一緒にブラブラしてた。だからFrothが形になっていく上で影響しているのは間違いないよ。僕らの周りで起こってたことを見れば明らかだよね。

ロサンゼルス以外だと、アメリカのどこで演奏するのが一番楽しいですか?

メンバー全員にとって西海岸のツアーは楽しいよね。休暇みたいだからってだけなんだけど、景色もとても綺麗だし。やることもたくさんあるよね。運転する距離もそんなに遠くないし、観客はいつだって素晴らしいよ。僕らはテキサスでプレイするのも大好きだなんだ。何でだか分からないけど、テキサスだとライブがうまくいく。

僕はフロリダ出身だからいつもツアーはマイアミで終わるんだ。ツアーでフロリダまで行くバンドは多くないけどね。ツアーでは大体アメリカのはずれまで行くよ。アメリカ中部は全体的にちょっとクソだけどね!

今年はSXSWでもプレイされましたよね。実際、英国ではSXSWに関する情報がたくさん飛び交っています。有名な音楽ジャーナリストがSXSWをレポートしようと集まってくる傾向にあります。SXSWは報道されるほど素晴らしいものなのでしょうか?


【SXSW 2017】 Froth Live in Las Vegas (March 10, 2017) (Full Set) 


個人的にはキライだけどね!死ぬほど知り合いに会えるしいろんな人を見れるから、あそこに2日いると、いつだって結局は楽しめるんだけど、個人的な意見を言わせてもらえば僕らみたいなバンドにとっては全く時間とカネの無駄だよね。

英国とかヨーロッパからライブを観に来る人にとっては楽しいんだと思う。だってバンドをたくさん観たいわけだから。だけど狂ってるよね。カネはかかるしかったるいし、馬鹿げてるよ!初めて行った時は最近行った3回よりは楽しめたけどね。

SXSWの出演者として名前があった海外の複数のアーティストが国籍のせいで今年、入国を拒否されました。トランプ大統領のせいで海外からの優秀なアーティストがツアーのためアメリカにやって来るのを抑えられる状況は続くと思いますか?

そうならないといいけどね。だけどヤツに何が出来るかなんて誰にも分からないよ。だから多分トランプ以外の皆んなが嫌がることをすべてやってみるつもりなんだろうね。

では大西洋を越えてパフォーマンスのために英国まで行くわけですが、楽しみにしていらっしゃることは何ですか?

僕らは全員いつも英国に行くのを楽しんでるよ。特に僕はずっと行きたかったグラスゴーに初めて行けるからワクワクしてるんだ。マンチェスターにも行ったことないけど行くよ。あとブリストルも。イングランドの新しい街がたくさん。いつだってライブするのにお気に入りの街だから、僕らはとってもワクワクしてるんだ。

英国でのライブについてファンが期待出来ることは何でしょうか?

レコードよりちょっとだけ早めの曲を聴けるって思ってくれていいよ。図らずも僕らがいつもやっちゃうことだけどね。次回のツアーではヴィジュアル的な何かも取り入れてエネルギをー高めにキープしてみるつもり。英国の皆んなはライブに来て自分自身で体感してみるべきだよ!


最新作「Outside (Briefly)」より1曲目「Contact」