21 November 2022

【祝来日3回目】グラムロックの新星☆Starbenders(スターベンダーズ)インタビュー

Photo Credit: Nico Constantine


昨年「隔離覚悟で来日」と意気込んでいたUS発・美し過ぎるグラムロック・バンドStarbenders(スターベンダーズ)が、コロナに阻まれた幻の3度めの来日をついに実現させた。そう、彼らは今、日本に滞在中なのだ。

実はこのバンド、日本では全く無名だった2018年に初来日を敢行。日本独自のEPのリリースまで果たしている。そんな掟破りなプロモーションを展開しているのが彼らの日本でのレーベルB.I.J. Records。「Big In Japan」を意味すると思われるが、「No Risk. No Future. 」を謳い、高校生がお小遣いで来れるライブを目指してチケットの価格設定もお安め(今回のスターベンダーズの場合、洋楽なのに前売4,800円、早割パス4,000円!)。何だか応援したくなるイノベーティブなレーベルなのである。

というわけで、スターベンダーズがSNSで「読んでね」とリンクしていたロサンゼルスのメディアWEHO TIMES(West Hollywood Times)が行ったインタビュー記事を翻訳してみた。2022年11月6日にLAで行われたライブのPR目的のインタビューではあるが、メンバーの幼少期の話、家族構成等、興味深い内容なので是非読んでほしい。そして何よりもライブに足を運んでほしい(今ならまだ小さい箱で見れる!)。なお、元記事の写真のチョイスがあんまりだったので、イケてる写真に勝手に差し替えたことも一応付け加えておく。

【元ネタ英語記事】Q&A: STARBENDERS is Bringing Glam Rock to The Hollywood Palladium(2022年11月4日)

以下、当サイトによる翻訳



最新の「グラムバンド・ワゴン」にまだ飛び乗っていない君に、今、最高にグラマラスなスターベンダーズの4人を紹介しよう。まだこのバンドを聴いたことがないのであれば、是非彼らのことを知ってもらって、11月6日Palladium(※パラディウム:LAのライブ会場)に行くことをお薦めする。スターベンダーズは、サウンド的にもヴィジュアル的にも僕らをイカせてくれる存在だ。

個人的に、僕はスターベンダーズに感謝の気持ちを表したい。彼らの8年以上に渡るロックンロールへのコミットと貢献、そしてアートとしての音楽をクリエイト&プレイし追求していく上で、全力で個人主義を貫き「本物」を表現してくれていることに対してである。

が、まずはバンドの背景について少々。スターベンダーズーはジョージア州アトランタ出身。2013年、リードシンガー&ギタリストであるKimi Shelter(キミ・シェルター)が、昔所属していたバンドのメンバーであったAaron Lecesne(アーロン・レセイン)にコンタクトを取り、新プロジェクトを始めて結成された。ギタリストのKriss Tokaji(クリス・トカイ)とドラマーのEmily Moon(エミリー・ムーン)の加入後、スターベンダーズが契約を結んだのは、以前レディー・ガガの音楽ディレクター兼ギタリストを務めていたニコ・コンスタンチンのレーベル<Institution Records(インスティテューション・レコーズ>であった。コンスタンチン氏をプロデューサーに迎え、スターベンダーズはこれまでインスティテューション・レコーズからEP3枚、フルアルバム1枚、7インチ1枚、シングル6枚を、また<Sumerian Records(スメリアン・レコード)>からシングル2枚とフルアルバム1枚をリリースしている。


キミ、以前君は他のアーティストの曲から影響を受けたスターベンダーズの曲について具体的に挙げていたよね。ピーター・マーフィー(※バウハウスのVo.)、ABBA、スティーヴィー・ニックス(※フリートウッド・マックのVo.)、ビョーク、LAのヴァン・ヘイレンやガンズ・アンド・ローゼズ。実に多彩なジャンルのレパートリーだね!プリテンダーズのクリッシー・ハインドやミッシング・パーソンズのデイル・ボシオからの影響も感じられるかもだけどどうかな?


キミ:そういったアーティストは大好きだし、皆んなすごいと思う。私達バンドメンバーの共通点は、同じような影響を受けて育ってきたこと。パンクとポピュラー音楽の間、ジェンダーの間、ジャンルの間とかに私達の共通点はあるんだけど、今言われた二人のアーティストもそうなんじゃないかな。ダイレクトな影響は受けていないけど、その二人が切り開いた道っていうのは確かに存在する。



Kimi Shelter/キミ・シェルター(vo,g)



育った環境とか幼少期に辛かったことについて、それぞれ話してもらえるかな?

エミリー:子供の頃、私の家族はよく引っ越してた。6年生になるまでに5回位引っ越したと思うけど、そのせいで子供なりの友情を築くのが難しかった。中学・高校の頃によくある仲良しグループに入るみたいなやつ。おかげでいつも自分は一匹狼みたいに感じてた。

キミ:昔から自分はとてもワイルドな想像力の持ち主だった(ワイルド過ぎて、それがヘアスタイルに現れてた)けど、学校や先生、クラスメートのせいで大変だった。クリエィティブな面でも物理的にも気持ちのはけ口は何とか見つけられたけど、自分の経験した容赦ないイジメはとても辛かった。サバイバル出来たのが自分でも不思議なくらい、本当に暗い日々が続いてた。残念だけど、人と違ってるってことは、多くの人を怖がらせるみたい。ちょっとだけそういうのが変わってきてるのは嬉しいんだけど、薄暗い場所は未だに存在してるし、自分はそんな薄暗い場所で青年期を過ごしたんです。



Emily Moon/エミリー・ムーン (d)


キミとアーロンは郊外育ちだったよね。それってどんな感じだった?自分らしくいられると感じてた?大変だったことで話せることはある?きょうだいは?いるとすれば何人?

キミ:たしかにいろんな機会に恵まれてたとは思うけど、それが当たり前とは思ってなかった。人と違ってるってことはそれなりに大変だったけど、青年期には素晴らしい友人グループにも恵まれたし、そのおかげで乗り切ることが出来た。きょうだいは2人いて、私は真ん中。

アーロン:子供によくあることだと思うけど、僕も大人になって最終的に自分が何になろうとしてるのか探しあぐねてた。どこにもなじめなくて結局、両親は僕を退学させてホームスクーリング(※自宅での教育)することにしたんだ。楽器を始めて皆んなとプレイするようになるまで、ありのままの自分でいるのが心地良いなんて感じたことがなかった。きょうだいは5人いて、3ベッドルームの家に8人で住んでたんだ。そういうのがツアー三昧の生活の良い練習になってるよ!



Aaron Lecesne/アーロン・レセイン (b)



クリスとエミリー、君達は都会で育ったの?それとも郊外?それはどんな感じだった?苦労したことで話せることはある?きょうだいはいるの?いるなら何人?

クリス:僕が育ったのはアトランタの郊外。結構早い段階から、落ち着いた生活を送るのは自分には向いてないって分かってたよ。退屈で変化がないと感じてたから。孤独感みたいなのがあったかな。音楽にハマってるような、自分が好きなタイプのキッズなんてほとんどいなかったから。その中でも楽器を演ってバンドを始めたいヤツってなるとますますいやしないし。僕には最初から冒険心や旅への憧れがあったから、ロックンロールのバンドマンになってノマド的にプレイするっていうのは魅力的に映ってた。

エミリー:私はどっぶり郊外育ちかな。いい感じのこじんまりとした袋小路にある家に住んで、多くはないけどいろんな年齢の子供達がいたこともあったな。かくれんぼにローラーホッケー、ニンテンドーのゲームとかたくさんやって楽しかった。自分には兄がいるんですが、今オースティンで家族と暮らしてます。



Kriss Tokaji /クリス・トカイ(g)



皆んなに聞くけど、幼少期、家ではどんな音楽がかかってて、それは誰の曲だった?

キミ:母親は熱狂的なクラシック音楽ファンだった。父親のISUZUのトゥルーパー(※別名ビッグホーン。SUV車)では、いつもポストパンクや大学のラジオ局がかかってた。それと祖母から丁重に受け継いだのがモータウンとオールディーズ。

アーロン:僕が子供の頃、母親はギターとピアノを弾いて歌ってたから、僕の最初の音楽体験は母の楽器をイジったこと。

クリス:両親は二人とも大のロックファンだった。父親もギターを弾くから似ちゃったよね。AC/DC、ヴァン・ヘイレン、シン・リジィとか聞かせたりするから。母親はレッド・ツェッペリン、KISS(キッス)、ガンズ・アンド・ローゼズ、ジャーニー、ドアーズのファンだったから、母親の好みにも影響されちゃったな。

エミリー:子供の頃、両親が死ぬほどパーティーを開いてて、父親がDJしてたのを覚えてる。二人ともティナ・ターナー 、ロッド・スチュワート、ビージーズの大ファンだったんだけど、まぁ基本的に踊れるやつなら何でもいいんだよね。あとパリに3年住んでたから、両親は自分達で選曲したフランスの音楽をシェアするのも楽しんでた。私も好きだったな、ヴェロニク・サンソンとか。


Photo Credit: Vegas Giovanni



歴史的に見ても音楽はスタイルに影響を与えてきたし、その逆もまた真実なわけで。音楽は君達それぞれのスタイルに影響を与えた?それとも君達の音楽に影響を与えたのはスタイルの方だった?どちらが先でそれは何歳の時だった?

キミ:自分のスタイルを確立するまでにはちょっと時間がかかったな。バンドがうまく走り出すようになったら音楽の方向性も固まっていって、その他諸々もうまくいくようになった感じ。(Starbendersっていう)バンド名はデヴィッド・ボウイへのオマージュとして付けたから、グラムロック的な方向性でスタートするのは自然だったし、時間が経つにつれてルックスも自分たちらしいものになってきて、ちょうど今それを楽しんでいるところ。

アーロン:僕の場合、音楽とスタイルが代わりばんこにリードして、もう片方に影響してる。

クリス:僕の場合、常に両方だね。ロックンロールはビジュアル的にもサウンド的にも速攻、僕の心を掴んだんだ。子供の頃、母親がキッスの「Alive」のCDを持ってたんだけど、アルバムカバーをじっと見つめて、バンドの衣装と存在感、マジですげぇなと思いながら聴いてたのを覚えてるよ。キッスはルックスもサウンドもマジでスゴかったよね!ガンズ・アンド・ローゼズからも同じような影響を受けたな。音的に速攻ハマったんだ。サウンド同様、見た目も悪(ワル)かったしね。彼らの美学って、音楽もそうだけど、かなりの部分が「表現方法」にあったよね。音楽と表現は同時進行していくものさ。



Photo Credit: Vegas Giovanni



キミ、男だらけのロッカーと業界のお偉いさんっていう男性優位な状況でやっていかなきゃならない女性ロックミュージシャンにアドバイスするとしたらどんなことがある?

キミ:耳を傾けてもらうべき声として、ただ恐れず突き進むこと。あと自分自身に限界を設定してしまう人にならないよう注意すること。ぶっ飛ばしていきましょう。

女性ロックミュージシャンとして個人的に大変だったことって具体的に何かありましたか?

キミ:詰まるところ、自分という人間が自分の最大の敵であり批評家でもあるってことが分かってきた。何よりも大事なのは、自分自身にもっと寛容になること。

エミリー:それってたぶんミュージシャンならどんなジェンダーにも当てはまることじゃないかな。自分の価値を知ること。少なくとも自分はそういうのに苦労してきた。チャンスが巡ってきても、それが自分にふさわしいのか迷ったりして。

男のロックスターって、チャーミングでクールで魅力的で、露骨にすぐヤレそうなグルーピーの女性について話したりするけど、女性ロッカーとして似たような経験ってあります?遠慮しないで好きに話してみて。

キミ:この質問にはありきたりには答えられないですね~。自分と魂(ソウル)レベルで繋がっていたいって人はたくさんいたけど、それってお互いを褒めたり感謝したりするってこと。露骨に「(性的に)人間的」なものは超えちゃってる感じ(笑)

アーロン、クリス、寄ってくるグルーピーで一番多いジェンダーは?

アーロン:ガチで答えるけど、バンドと寝るのが明らかな目的で人が集まるようなライプになんて、僕は興味ないよ。

君達が80年代のバンドだったらこんなこと訊こうとは思わなかっただろうけど、あらゆる年代の人が似たようなルックスになろうとしてるのを見るのに僕は失望してるんだ。

だから自分が誰であるかを表現する手段として、意図的に自分自身のスタイルを創り出そうとするような傾向が君らみたいな若い世代のミュージシャンに見られるとすごく嬉しいんだ。君らの場合、アンドロジナス(※男女両性の特徴を持つ)的なファッションを身に着けるのが多いよね。

アーロン、クリス、アンドロジニー(※両性具有)について話してくれるかな。二人の個人的な自己表現に関連してると思うんだけど。

アーロン:それって何よりも自由についての話だよね。ジェンダーバイナリー(※性別を男性・女性の二択で分類する考え方)って、聖職者や政治家が考え出したものでリアルとは言えないよね。アンドロジニーって、僕の個人的スタイルや表現とも関係してるけど、本当の自分を受け入れるってことで、自由なものだし、制度上自分が誰で何であると"されているのか"は全く関係ない。

クリス:僕にとってアンドロジニーは、個人的にはただの意識の問題で、女らしさという後光に包まれた男らしさが思い浮かぶかな。メイクとかジュエリーは好きな自己表現の手法だし、メッシュやフィッシュネットのシャツなんかも大好きだよ!

スパンデックスのピチピチのパンツにフィッシュネットのトップスかシャツ、厚底靴で着飾ってみたいと思ってる郊外のキッズに何か言うとしたら?

クリス:他の誰かが着てるものや他の誰かに着ろと言われたものは無視して、自分がどんな格好をしたいのか自分の魂(ソウル)に委ねること。自分のスタイルって、自分自身のアーティスティックな表現と同じで指紋みたいなもの。僕の場合は間違いなく、自分の音楽的ヒーローのファッションから多くのインスピレーションを得てきた。自分らしいひねりを加えてね。ファッションって、その人の精神やエネルギーを映し出すものだし、ファッションを通して本当の自分をもっとさらけ出すことができる。

アーロン:なりたい自分になれ。そしてそれを人生のあらゆる面に当てはめろ。それが自分の自信になったら更に進んで周りの人間をインスパイアせよ。本当の自分に満足していれば、あなたのことをリスペクトして受け入れてますよってことが周りの人間にも伝わるもの。「グラムファッションとは、まさにひとつの社会奉仕の形である」って今、初めて聞いたでしょ。




in Tokyo (2018)



80年代初期からのウエスト・ハリウッドには、あり得ないほど多様な人間が集まり始めた。LGBTQ+の居住者、サンセット・ストリップにあるクラブのオーナー、ユダヤ人の多いフェアファックス地区のビジネスオーナー、ロシア系ユダヤ人移民等。それと同時に、グラムロック、ニューウェーブ、パンク、ラップが全部同時発生して、音楽やファッションの斬新なシーンが爆発的に広がっていった。ウェスト・ハリウッドは、1984年の設立以来、LGBTQ+を自認する人々、アーティストやミュージシャン、移民にとっての安息の地となった。

スターベンダーズが主催、または参加したチャリティーライブ(多くの場合LGBTQ+でホームレスの若者のため)の数々は、非常に素晴らしく賞賛に値すると思う。

ロサンゼルスの非営利団体<Children of The Night>のために開かれた素晴らしいチャリティーライブイベントに出たことはもっと多くの人に知られるべきだね。キミがスターベンダーズを巻き込んだんだよね。<Children of The Night>はここアメリカで1万人の子供と若者を人身売買、ポルノ、売春からレスキューしてきた。そう、まさにここアメリカ合衆国で!

アーロンもジョージア州アトランタの非営利団体<Lost-N-Found Youth>の活動にバンドを参加させたよね。ホームレスのLGBTQ+の若者にサービスを提供してる団体だね。読者を代表して「皆んなありがとう!」と言わせて頂くよ。

アーロン、「権利を奪われた若者を援助するのは、政治的声明とは違う」って考えを述べた以前の発言について説明してくれるかな?

アーロン:その発言について考える一番シンプルな方法は、博愛主義と政治は別物だってこと。政治は苦しみを和らげる手段にはなり得るけど、その2つの言葉に互換性はないよね。

自分にとって身近な問題への関心を高めるため意欲的に活動する件について、個人的に話したい人はいる?(チャリティー活動に対する)責任感はある?他のバンドも君らが先導してるような活動をやるべきだと考える?今後参加する予定の慈善活動や、サポートしている活動について何か言いたいことはある?

アーロン:メンタルヘルスサービスや依存症からの更生へのアクセスに関することかな。そういうのは僕にとって重要で、僕がミュージシャンであるかないかにかかわらず重要になってくると思う。周りの人に対する社会的義務のコアな部分って、僕の職業によって大きく変わるものじゃない。詰まるところ、社会的義務っていうのは、どのみち自分の持つ価値観に基づくもの。僕の場合、誰かがリードしてやってるからやるわけじゃない。やるのは「機能してる1人の人間」だから。あとアーティストが活動家になる責任があるとも思ってない。一般的にも、アーティストが本気で入れ込んでるわけじゃない活動についてもね。そういうの(アーティストが活動家になること)って速攻、社内企業家(※イントレプレナー。社内で正社員をしながら新規事業の立ち上げ等を先導するポジション)的なことになっちゃうからね。個人的には音楽の目的をあまり崇高なところには求めてないんだ。音楽は社会を変える原動力にもなり得るけど、娯楽や現実逃避にだってなるからね。それのどっちが有意義とかはないと思う。

キミ:自分達はただ音楽表現とライブ活動を通して愛と受容の気持ちを示したいだけ。どんな形であれ素晴らしいコミュニティーに貢献できるのを誇りに思うし、できるだけ多くの方法でいつも愛のメッセージを届けていきたい。

自分のことはLGBTQ+、アライ(※LGBTQ+ を理解し支援する立場)、またはその両方のどれを自認している?

エミリー:自分はクイアを自認してる。

キミ:私は間違いなくアライね。



Collaboration with ANNA SUI 
(Photo Credit: Vegas Giovanni)



キミ、郊外育ちの女の子はどうやってレディー・ガガの音楽ディレクターだったニコ・コンスタンチンに出会って一緒に仕事することになるんだろう?その話について聞かせてくれるかな?

キミ:ニコとは彼が音楽ディレクターを担当してた他のバンドのオーディションを受けて知り合ったんです。音楽に対する彼のほとんど子供みたいな愛情と無邪気さのせいで、ニコのことは、自分が知ることになったうんざりするような砂漠の中の蜃気楼みたいに思えた。幸いなことに、私と仕事を続けたいと思ってくれたみたいで、それからのことは歴史ね!

キミ、君の歌詞は欲望についてや、辛く複雑な恋愛関係に関するものが多いよね。君が描くような失恋の深みを経験する時間って、作曲とツアーの合間に持てるものなの?

キミ:特に区別はないから、余分な時間なんて必要ない。自分のマインドは緑が育ち過ぎた庭みたいなものだから、ネタは豊富に集められる。

2019年に3枚目のEP<Japanese Room>をレコーディングして日本だけで流通させるっていう奇抜なアイディアは誰が考えたの?それって戦略的な決定だったの?それとも自然発生的にそうなったの?

キミ:自然な流れの中で、素晴らしい日本のレーベルB.I.J.レコーズから出しました。

で、君達は今「ビッグ・イン・ジャパン」なわけだけど、日本のマーケットのためだけにEPを制作することで、外国に、より忠実なファンベースを作れたと思う?

キミ:ツアー2本を通して自分たちを日本に紹介するチャンスが与えられた。光栄にも曲のリリースもできたし。またもうすぐ11月に日本に戻るんだけど!

よくツアーしてるよね。ツアーでのルーティーンにはどんなのがあるの?スキャンダラスでロックンロールなアクティビティーがあれば歓迎するんだけど。

キミ:起床、コーヒーを飲む、ドライブ、コーヒーを飲む、サウンドチェック、(コーヒーを買いに)散歩、ライブ演奏、物販を売る、素晴らしい人々と会う…、朝起きてコーヒーを買えるように寝る。

クリス:ツアー中の毎日のルーティーンは大体1杯のコーヒーで始まるね。そこから始まって、1日を通して行うアクティビティーや物事の選択はすべて、できるだけ最高なロックンロールショーを円滑に演るためにしてるよね。その願望に従って自分は動いてる。


STARBENDERS - Blood Moon




アーロン、君は18ヶ月禁酒したお祝いをしたって発表してたよね。飲酒のチャンスがたくさんあるはずのツアー中にどうしたら酒を断っていられるのか(他の誰かの匿名性を侵すことなく)教えてくれるかな?

アーロン:自分だけの力じゃ禁酒できなかったと思うし、自力ひとりではシラフでいないと思う。こういう(ツアー三昧の)ライフスタイルを送ってる仲間に力をもらって、今度はその力を(観客に)お返しするんだ。まさにグループでの努力の成果だね。依存症の人って孤独に苦しむから、依存症からの回復はコミュニティー(地域社会)にかかってるんだ。そのコミュニティーが僕を前進させる何かの大部分を占めてる。

お酒を断った状態は、君の想像力をダメにしている?それとも膨らませてる?

アーロン:(禁酒は)自分が気付かなかったクリエィティブの扉を間違いなく開けてくれたと思う。100万年もの間、自分が洋服を縫ったり改造したりするようになるなんて思ってもみなかったし。今じゃ曲をリリースするたびに記念のジャケットを作ったり、退屈しのぎに思いついたアイディアを試したくて新しい洋服を作ってる自分がいる。僕らのバンドは間違いなく洋服やファッションが好きだし、それと並行してちょっとした手芸のアーティストになろうとしてるけど、かなり楽しいよ。

話せる範囲で、シラフでいることについての最もネガティブな誤解は何だった?

アーロン:たまに、シラフでいるのは楽しみ過ぎた罰だって考えてる人がいて、差別的な扱いを受けることもある。だけど(そもそも禁酒しなければ死んでたかもしれないのに生きてるわけだから)お祝いしたり、できるだけハッピーに過ごしましょうっていう生活スタイルなわけで。個人の成長やコミュニティーを通してね。僕は依存症の人や回復過程にある依存症の人に対し、社会がはっきり押し付けてくるネガティブな意味合いについてはあまり考えないようにしていて、皆んなが輝ける場所に貢献する方にもっと集中するようにしてます。






ロサンゼルスでのライブについては不満を漏らすミュージシャンもいますよね。あまり好ましい観客とは言えない業界の無料招待客がうじゃうじゃいて、優先席や立ち見席を占領してる場合も多いから。

キミ:人がいっぱいの客席を見るのは大好き!それが何であれ、自分はそういうのは気にせずいつもプレイするようにしている。ジョージア出身女子にとってLAでのライブは、未だにかなり魅力的だから。だから皆んな見に来てね!

アーロン:LAでのライブについて僕が聞いた不満の中で、そういうのが飛びぬけて最悪ってわけでもないよ。

皆んなこのインタビューに参加してくれてありがとう。よく考えられた率直な回答にも感謝します。11月6日に会うのを楽しみにしています。


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