8 June 2017

LA発4ピースバンド・Froth (フロス)|「Outside (Briefly)」レコ初インタビュー

RIDE北米ツアー・サポートアクトに決定で、今がチャンスとばかりにFroth(フロス)を布教する企画第2弾(第1弾はこちら)。アメリカ西海岸・ロサンゼルスを拠点とする4人組バンドである。

元はと言えば、冗談から始まったバンドFroth。友人から無料でレコードを作ってやると言われ、まだ楽器さえ弾けないというのに架空のアルバムのアートワークを作成、20分の無音レコードを制作したのはVocalのJoo-Joo Ashworthと、同じ高校(El Segundo High School)の先輩であり初期メンバーとしてオムニコードを担当していたJeff Fribourgである(結局脱退後も含めFroth全3枚のアルバム・アートワークを担当)。




1作目「Patterns」、2作目「Bleak」までは地元のレーベルBurger RecordsLolipop RecordsからLPやカセットテープを発売していたFroth。2017年2月24日リリースの3作目「Outside (Briefly)」では、ロンドンを拠点とするWichita Recordings(ウィチタ・レコーディングス)と契約。事実上ワールドワイドなバンドの仲間入りを果たしたのである。

というわけで、最新作「Outside (Briefly)」発売前に行われたJoo-Joo Ashworth(g&vo:上写真左端)、Jeremy Katz(ba:上写真青シャツ)、Cameron Allen(dr:上写真バイク)へのインタビュー和訳を掲載。


【元ネタ英語記事】 Froth: "Everything changed once we got in the studio..."(2017年2月9日付)

以下、当サイトによる和訳

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「Bleak」のリリースから2年が経ちました。「Bleak」への反響はどんな感じでしたか?

Joo-Joo Ashworth(以下A): まあ良かったよ。正直言って「Bleak」についてはあまりプッシュできなかったんだ。やろうと思えばできたんだろうけど。ツアー廻ってる時、フィジカルな音源がなかったからね。まぁあったとしても、それでどの位の差がつくのか分かんないけど。まあ良かったよ。もうちょっと行くかなって期待してたかもしれないけど。

Jeremy Katz(以下K): 1枚目のアルバムが好きだった人の中には、多分離れちゃった人もいるんじゃないかな。「Bleak」の方をもっと好きになってくれた人もいたけどね。

Froth2作目のアルバム「Bleak」


「Bleak」以降のバンドはどんな感じだったのですか?

A: たくさんツアーを廻ってた。でも大体は(3作目の)次のアルバムのことで盛り上がりまくってた。絶対、全3作の中で一番盛り上がってたと思うよ。

(3作目の)ニューアルバムにはいつから取り掛かったんですか?

A: 「Bleak」をリリースしてほぼすぐ。曲によって早く仕上がったり時間がかかったり。

K: ニューアルバム1曲目の「Contact」については、「Bleak」をリリースした週にJoo-Jooがデモを持ってきたのを覚えてる。「Contact」はニューアルバム用に作った最初の曲だったと思うよ。僕らは常に曲作りをしていて、必ずしもアルバムのためってわけじゃないから、最終的に曲が溜まった頃に「じゃぁアルバムを作ろう」ってなるんだ。


3枚目のアルバム「Outside (Briefly)」より:1曲目・「Contact」公式PV



アルバムの曲作りの際、何からインスピレーションを得ているのですか?

A: Elliott SmithとかThe Beatlesとかいろいろ。ニューアルバムについてはこの2つから一番大きな影響を受けたって言えると思う。Julian Lynchもそうだね。

K: 面白いって思った本があったんじゃなかったっけ?

A: ああ、そうそう。歌詞の多くはRichard Brautigan村上春樹の本が基になってるんだ。


左からJoo-Joo Ashworth(g&vo)、Cameron Allen(dr)、
Nick Ventura(g)、Jeremy Katz(b)

レコーディングの場所は?あとアルバムの制作期間はどのくらいでしょうか?

K: 今僕らがいる場所から、ちょうどその通りを進んだところだよ。僕らの友人にThomas [Dolas]ってヤツがいて、結局このアルバムのプロデュースをやってくれちゃったわけだけど、Thomasが自分のスタジオを作ったんだ。DIYスタジオとプロ仕様のスタジオの真ん中って感じのね。結局僕らはそのスタジオでThomasと一緒にアルバム制作をしたんだ。あそこにいるとすごくリラックスできる。ホント良かったよね。

A: 2ヶ月くらいかかったんだっけ?40セッションしたのを覚えてるから、だいたい2ヶ月超えだと思う。


最新作「Outside (Briefly)」(2017年2月24日発売)


このアルバムのレコーディング過程はどんな感じでしたか?

A: バンドとして既に完成させてたのは数曲だけだったように思う。それからは他の新曲の制作を頑張った。だから古いデモをチェックして、メンバー全員が賛成できて、メンバー全員が好きなものを見つけたら、各メンバーのデモをフルバンドでレコーディングしていった。

そのように長い時間をかけて制作していく中で、最初に曲作りをしていた頃と較べてアルバムの曲が変化したことはありましたか?

A: もちろんあったよ。「Contact」がいい例だね。最初は全然違う曲だったから。シンセも何も入ってない、ただのギター・ソングだった。

Cameron Allen(以下Allen): あの曲は何回も録り直したよね。

K: 僕らは「Contact」を演奏するのを一旦中止したんだ。この曲に関しては何もしない…みたいな。で、後になって復活させた。

A: 「Petals」はとてもスローな曲なんだけど、最初に書いた時はやたら明るい曲だった。大体スタジオに入ると全てが変わっちゃう。今ライブだと新しいパートを付け足してる曲もあるし。多くの場合、スタジオでやってることと同じだよね。


3枚目のアルバム「Outside (Briefly)」より:4曲目・「Petals」公式PV


アルバムタイトルは「Outside (Briefly)」ですね。タイトルの裏に何かストーリーはありますか?

A: Richard Brautiganの「The Abortion」っていう本の章のひとつから取ったんだ。ただカッコいいと思ってね。個人的な僕の身の上には特に何も起こってなかったから、「あ~、今この本読んでるからこれついて何か作っちゃおう!」みたいな方が簡単だったんだ。

K: 僕らのバンドって見た目や響きがクールなフレーズや言葉を見つけて、それを基に曲作りをすることもあるよね。

アートワークはどうしてるんですか?

A: 数年前までFrothのメンバーだったJeff Fribourgが担当したんだ。Jeffは僕らのアルバムカバーを全部やってくれてる。いつだって僕らの気に入る作品を作ってくれるから、アルバムカバーについてはJeffに好きにやってもらってるんだ。Jeffだったら何をやってもいいものを作るって皆んな分かってるからね。

K: 何でそれがクールかっていう話だけど、Jeffが最初にアルバムカバーのデザインを始めた頃、レコーディング中の僕らの所にやって来て、スタジオの片隅で音を聴きながら作業するんだ。デザインと音楽が奏でるサウンドがリンクするんだろうね。きっと音楽がデザインにちょっと影響するんだと思う。僕らが曲を作ってた時、Jeffはその場にいるんだから。


旧メンバーJeff Fribourg(オムニコード担当)
Frothのアルバムカバーの全てを手掛ける



今回はWichita Recordings(ウィチタ・レコーディングス)からの初めてのリリースになります。Wichitaと組み始めたのにはどんな経緯があったのでしょう?

A: レーベルを経営してるMark [Bowen]が僕らのマネージャー・Sofia [Karchi]の友人だったんだ。Markは僕らをチェックしに、とあるライブにやって来たんだ。僕は知らなかったけど。

K: その後もMarkはライブに足を運び続けた。何回か僕らを見て、契約することに決めたんだ。素晴らしいことだね。

A: Markが自分のレーベルに僕らを連れ去った…みたいなね。


「Outside (Briefly)」を一文にまとめるとしたら、どう表現しますか?

Allen: 「パパのお気に入りのFrothのレコード」。


アルバムの中で好きな曲や、特に聴いてもらいたい曲はありますか?

A: 「Petals」って曲がとっても気に入ってる。僕のお気に入りはコレだな。

K: 僕も賛成しなきゃな。

Allen: うん、あの曲は僕のお気に入りでもあるよ。「New Machine」も大好きだけどね。

K: そうそう、「New Machine」もいいよね。実は「Petals」はニューアルバム用に初めてレコーディングした曲でもあるんだ。

Allen: それってもう1年半も前の話だぜ。

K: また別のスタジオでね。ひたすらレコーディングしまくって、その曲だけ何回もやってた。

A: 同じエンジニアだけどね。

Allen: そう、やっぱりThomas。

K: だから面白い曲が出来た。


Joo-Joo Ashworth (vo&g)   Photo by Sara Amroussi-Gilissen


アルバムをリリースするにあたって何か希望することはありますか?

A: 特にないかなぁ。大体僕らは何をやってもとてもハッピーだからね。皆んながアルバムを気に入ってくれたらいいなって思うだけかな。でも、もう作っちゃってるから僕らができることはあまりないんだけどね。

K: 今回はアメリカでもうちょっとウケて欲しいって思うけどね。Frothのツアーはヨーロッパだと、いつも本当にいい感じで楽しいんだ。アメリカはまだ怪しい時があるよね。アメリカの僻地の真ん中から誰か来てくれたらいいんだけど。これを読んでるネブラスカ州の誰か!ライブに来てね~。


アルバムが出たら、次はどうするんですか?

K: Desert Daysのツアーをやって、それからまだ発表になってないけど、アメリカでヘッドライナーツアーをやってから、ヨーロッパツアーがある。で、また8月に別のヨーロッパツアーに行くんだ。だからたくさんのツアーが待ち構えてるってことかな。いいことだけどね。だってこのアルバムがリリースされるのを数ヶ月も待ち続けてたわけだから、メンバー全員ツアーに出るのをとても楽しみにしてるよ。


将来について一番恐れていることや、楽しみにしていることは何ですか?

K: 僕が恐れてるのは自分の結婚だけだよ。だってこんなにたくさんツアーに出なきゃならないんだから。

A: 僕が怖いのは友情をダメにしてしまうようなケンカ。ツアーだと時々起っちゃうからね。

Allen: 怖いものは特にないと思う。またツアーが始まることが楽しみで仕方ないだけさ。

A: そうだね。僕ら全員またツアーが始まって、行ったことのない場所に行けるのをめちゃくちゃ楽しみにしてるよね。冬じゃない時期にヨーロッパに滞在するのはいいだろうね。

K: ヨーロッパには2、3回行ってるんだけど全部2月だったんだ。天気のいい時期じゃなかったからね。5月のヨーロッパはいいだろうね。


お金が目的じゃないとして、バンドとして何が一番したいですか?

K: 飛行機が欲しい。僕個人用のね。あとアルバムをレコーディング出来る僕ら専用のスタジオが欲しい。

Allen: …で、僕らが今していることが出来ること。ツアーをして快適に過ごせること。

A: お客さんを確実にライブに来させることは出来ないけどね。― ライブのお客さんは買収出来るか!そうすれば観客の規模がもっとデカくなるよな。